本の感想
井藤元・苫野一徳・小木曽由佳『教育観を磨く 子どもが輝く学校をめぐる旅』を読みました。 「北九州子どもの村小学校・中学校」「伊那市立伊那小学校」「三河サドベリースクール・シードーム」「横浜シュタイナー学園」という特徴ある4校の実践を、実際に…
平井聡一郎先生から、ご著書『GIGAにとどまる学校、学校DXに進化する学校』をご恵贈頂きました。 学習系・校務系にまたがる活用事例が満載で、学校の方も、行政の方も、これからのDXに向けたヒントが見つかるはず。 また、最終章の鼎談「学校とデジタルとAI…
著者の苫野先生からご恵贈頂きました。「ちくまQブックス」という10代向けの新シリーズの、記念すべき第一弾となる作品です。 10代向けということで、たいへん読みやすく書かれています。しかし、言っていることの要求水準はとても高いです。大人になった今…
月刊『教職研修』で連載が始まったということで、しかもアフリカの研究者ということで、どんな方なんだろうと思い読んでみました。「越境ブックレットシリーズ」という謎の名前、さらに、第1巻なのにこの前に第0巻もあるという謎の展開です。 読んでいくと…
著者の末冨先生からご恵贈頂きました。本書のいう「子育て罰」は、子育てする人に厳しい社会や制度という意味です。 現在の日本の制度が、特に経済的な面で子育て世帯に非常に厳しいものになっているということが、様々なデータに基づいて論じられています。…
部活の先輩の清水さんの本です。なんて言ったら失礼ですね。経営学がご専門の清水剛東大教授のご著書です。 戦前の日本は、今よりはるかに死が身近な社会でした。特に感染症による死は多く、家族や友人・知人の誰かを感染症で亡くしているのは普通のことでし…
レッドアローは西武線を走る特急の名前です。私も子供の頃には、親に連れられて池袋の西武で買い物をし、パルコの上でご飯を食べて、レッドアローで帰るというのが年に何度かの贅沢という、典型的な西武の民でした。卒業アルバムにも西武ライオンズのウィン…
長野県池田町の竹内延彦教育長からのご紹介で読ませて頂きました。自らオルタナティブスクールを創設・運営されている著者が「小さな学校」を制度化する構想を描いています。小さな学校とは、生徒数200人以下でオルタナティブ教育をする学校を意味します。 …
編著者の一人である信州大学准教授の林寛平先生からご恵贈頂きました。現地でしかわからないリアルな北欧各国の教育事情が描かれており、中でもスウェーデンに重きが置かれています。 スウェーデンに関する記述では、例えば、民主主義や政治参加に関する学校…
以前こちらにも書いた『文部科学省の解剖』の青木栄一さんによる新書です。所々「ん?」と思う箇所もあるものの、概ね納得の内容だと思いました。 本書で印象的なのは、現在の教育政策が官邸や他省庁の「間接統治」であるという主張です。ご存知のとおり間接…
臨時休校中の生活や学びの状況について、高校生や保護者への調査に基づいて分析した本です。 まず驚くのは、調査の時期です。昨年5月、つまり、まだ休校中に調査を行っています。私達も日々、正解がない状況の中で、できることをやろうと奮戦していたわけで…
熊本市教育委員も務められている苫野先生の著書です。 自由学園での講義をもとに書籍化した本なので、本来は難しいはずのルソーの思想について、中高生向けにとてもわかりやすく解説されています。 「よい社会」とは何か?という問いについて考えた『社会契…
辻村哲夫 元文部省初等中等教育局長。20年振りに元上司の名前を見つけました。以前からお世話になっている中西茂さんとの共著とあれば、買わないという選択肢はない、ということで即買いです。 辻村元局長は、部下として働いたのは数か月間だけだったことも…
前田康裕著『まんがで知る 未来への学び3』を読みました。 シリーズ3作目にして完結編です。本書は、これまでの2冊、そして前シリーズ「まんがで知る教師の学び」の3冊と比べても、特徴的な点があります。それは…「コマ割りが細かい」。それだけ1ページ…
前田康裕著『まんがで知る未来への学び2』(さくら社)を読みました。 名著です。なぜなら、私も少し登場しているから。という前にも言った冗談はさておき、とても読みやすく考えさせられる本です。 これから少子高齢化がますます進み、人口も減ってきます…
9月にシュライヒャー局長をお招きした際にご本人から直接頂いたのですが、なかなか読めず、ようやく読み切りました。とても学びの多い本でした。 この本の強みは、書かれていることの多くが、OECDが長年積み重ねてきたPISA等のデータに裏付けられていること…
小熊英二著『日本社会のしくみ』を読みました。 新書でありながら、約600ページという大著です。日本型雇用について、例えば「終身雇用なんて大企業だけだよね」というイメージはあっても、実際はどうなっているのか。本書は、それを文献やデータで徹底的に…
横浜市教育委員会と立教大学中原淳研究室の共同研究をまとめた書。「データに基づけ、しかし、リアルな物語を編め」をコンセプトとしていて、タイトルからは小難しい内容かと思いきや、とても読みやすく、サクサク読み進められます。 実際にどんな特徴を持っ…
苫野一徳著『愛』を読みました。 「自由とは何か、それはいかにして可能か」を解き明かした苫野先生が、「愛とは何か、それはいかにして可能か」を解き明かした、構想20年という力作です。 愛とは、なんでしょうか。必ず最後に勝つものか、世界の中心で叫…
文科省の合田財務課長のご著書です。本書については、何度も読んで何度も考えたことがたくさんあるのですが、起承転結という感じで4つにまとめてみました。 1.著者について 平成20年・29年と二度の学習指導要領の改訂に携わられた合田課長は、新指導要領…
住田昌治著『カラフルな学校づくり』を読みました。 最初は、表紙の雰囲気から、本当に校舎の壁や教室をパステルカラーに塗ったりする話かと思いましたが、全く違いました。ESDに学校全体で取り組むことを通じて、学校自体を元気で持続可能なものにしていっ…
鹿児島の実践家、大江浩光先生から、ご著書『わかる!特別支援教育のリアル』をご恵贈頂きました。教員だけでなく保護者向けの書でもあるので、読みやすく、かつ、具体的・実践的に書かれています。 本書の中で、大江先生は、特別支援教育においてつける力は…
これまで行政学的な分析がほとんど行われてこなかった文部科学省に関する研究ということで、たいへん興味深く、面白く読みました。 他省庁と比べて、総理や官邸への影響力が少ない、財務省に弱い、族議員や関係団体との内輪の付き合いが多い、という、日頃か…
苫野一徳先生から、ご著書『ほんとうの道徳』をご恵贈いただきました。 この本は非常に感想が書きにくい本でした。読んでからも何を書こうか悩み、少し寝かせておきました(笑)。なぜなら、日頃から苫野先生とよくお話をし、ご著書や記事もそれなりに読み、…
少し古い本ですが、大空小学校の木村泰子先生と麹町中学校の工藤勇一先生が共通して影響を受けたということで、最近また話題になっている本です。 15年以上前の本ですから、当時と今とでは状況が変わっている部分もありますが、今でも変わらずに教育論議の課…
令和最初の読書は、ユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』でした。 人間至上主義からデータ至上主義へ。人間の知識と経験に基づくよりも、データとアルゴリズムに基づく方が、はるかに正確な判断ができるようになった時、人間は何に基づいて行動するのか…
平成最後の読書はこちら。渡辺靖著『リバタリアニズム』。 自由市場・最小国家・社会的寛容を重んじるリバタリアン。政府の介入は最小限に、他人の自由への干渉も最小限に、というのが基本的スタンスです。 著者は日本には「存在しないに等しい」と書いてい…
塾の話です。学校が圧倒的な存在であり、塾に行くことは後ろめたいとされていた時代から、塾の全盛期、そして現代まで。塾を創業した一家の三世代にわたる波乱の物語です。少しボリュームがありますが、面白くどんどん読めます。 この物語では、文部省は極悪…
苫野一徳先生にご著書『「学校」をつくり直す』をご恵贈いただきました。 名著です。なぜなら、私も「あとがき」にちょこっと登場しているから。というのは冗談ですが(笑)、苫野先生がこれまでのご著書で展開されてきた理論をもとに、「新しい学校をつくろ…
前田康裕先生のご著書『まんがで知る未来への学び』を読みました。「教育を盛り上げる会 in 熊本」で一緒に活動させていただいています。 学校は「先生と生徒」だけを考えていればよい、閉じた世界ではなくなっています。では、学校を開くとはどういうことか…