熊本市教育委員も務められている苫野先生の著書です。
自由学園での講義をもとに書籍化した本なので、本来は難しいはずのルソーの思想について、中高生向けにとてもわかりやすく解説されています。
「よい社会」とは何か?という問いについて考えた『社会契約論』は、現代まで続く民主主義の源流として、まさに世界を変えるインパクトをもたらしました。
本書にも書かれている通り、絶対王政の時代に人民主権を主張し、絶対権力であったキリスト教会まで露骨に批判したルソー。当然のように逮捕状を出され逃亡生活を送ることになります。命知らずというか、相当ぶっ飛んだ人だったことは間違いありません。なのに、繊細で被害妄想に苦しめられるという…。遠くで見ていれば魅力的ですが、近くにいたらとんでもなく面倒だろうというルソーの人柄まで伝わってくる良書です。
社会契約について、自由について、一般意志について、わかりやすく書かれているので、読むとわかったような気になりますが、冷静に考えるとわかっている自信はありません。時間をおいてまた読んでみる必要がありそうです。