教育長ブログ

熊本市教育長(H29.4~) facebookの投稿から主なものを転載しています。 https://www.facebook.com/hiromichi.endo

政策

なぜ教員不足になるのか?(精神論ではなく需給構造の問題)

12月4日付けの日本教育新聞で、東京学芸大学の佐々木幸寿理事・副学長が「採用倍率の低下の原因は教職の魅力低下というより、需給問題と捉えるべき」と述べられています。 おっしゃる通りで、受験者数などのデータを見れば、魅力とか人気とか、そんな精神論…

時代とともに変わる資質・能力:「AIの苦手分野が人間の役割」から脱却を

日本教育新聞に寄稿した記事を、許可を頂いてブログに転載しました。 ・・・ 技術の進歩は、私たちが必要とする資質や能力に絶えず変化をもたらしている。教育の世界ではしばらくの間、知識の暗記よりも、思考力、判断力、表現力や課題解決能力が重要だとい…

夏休みに休暇が取りやすいよう、年次有給休暇の取得期間を9月〜8月に変更しました。

熊本市立学校では、夏休みに休暇が取りやすいよう、年次有給休暇の取得期間を9月〜8月に変更しました(7月の市議会で条例案が可決)。これまでは一般の公務員と同じ1月〜12月でしたが、9月〜8月にすることで8月末の残り日数が計算しやすくなり、夏休み中にま…

ChatGPTのセンスに脱帽。

本日の教育委員会会議で、小規模校に学区外から転入できる「小規模特認校制度」の案を報告させて頂きました。 「ハーモニースクール」という、ChatGPTに考えてもらった愛称を会議に出しましたが、意外と好評でした。AI恐るべしですね。 結構センス良いんです…

こども家庭庁の発足:地方自治体も体制整備を進めよう

※日本教育新聞に寄稿した記事を、許可を頂いて転載します。 本年4月1日、内閣府の外局として「こども家庭庁」が発足する。こども家庭庁には、これまで各省庁が別々に行ってきたこども政策の総合調整を担い、こどもの視点に立った政策の司令塔としての役割…

教育長だより ー 稼げる学校・教育委員会へ

※月刊「日本教育」に寄稿した記事を、許可を得てブログに転載させて頂きます。 「予算が足りない」というのは、全国の学校や教育委員会における普遍的な悩みだろう。人が足りない、施設が古い、モノが買えないなど、学校にまつわる問題の多くは、最終的には…

「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について

中央教育審議会に「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」諮問されました。 教員免許等について議論が行われるとのことで期待していますが、この諮問文を読んだ率直な感想は、教師に高い資質能力を求めすぎているという…

熊本市立高校・専門学校改革の素案を発表しました。

2/25の定例教育委員会会議で、熊本市立高校・専門学校改革の素案を発表しました。 ①普通科から探究科への転換 ②必由館高校に附属中学校を設置 ③千原台高校に通信制課程を設置 ④ビジネス専門学校は起業家育成を重視 ⑤高校は30人、附属中は25人の少人数学級 な…

熊本市の令和3年度当初予算案が公表されました。

熊本市の令和3年度当初予算案が公表されました。 教育費は677億円で、前年度当初予算より微増となっています。一般会計総額に占める割合は18.1%です。内容としては、1人1台端末の運用、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー、読書関係事業な…

なぜ「〇〇教育」は減らないのか。

教員の働き方改革の議論で、学校には「〇〇教育」が数多くあり、それが多忙化の一因となっているという指摘があります。しかし、実際には「〇〇教育」はなかなか減りません。なぜでしょうか。 実は、減らないのには明確な理由があります。それは、国会で「〇…

熊本市立図書館で県立図書館の本を貸りられるようになります。

熊本市立図書館・公民館等で、県立図書館の図書を貸出・返却できるサービスを始めます。両者を合わせると蔵書数約260万冊という大規模なネットワークとなります。来年1月13日からサービス開始です。詳しい利用方法などは後日、ホームページ等でお知らせしま…

辻村哲夫、中西茂著『もう一度考えたい「ゆとり教育」の意義』を読みました。

辻村哲夫 元文部省初等中等教育局長。20年振りに元上司の名前を見つけました。以前からお世話になっている中西茂さんとの共著とあれば、買わないという選択肢はない、ということで即買いです。 辻村元局長は、部下として働いたのは数か月間だけだったことも…

若林恵『次世代ガバメント』を読みました。

何かと評判がよいので、読んでみました。紙版は既に売り切れなので、電子書籍で。 次世代ガバメントは、「大きい政府」でも「小さい政府」でもなく「大きくて小さい政府」。つまり「『サービスは極大』だけれど、それを運営する『行政府は極小』を目指す必要…

2007年に行われた、2019年の「未来」予測

本棚をゴソゴソしていたら、興味深いものを発見した。 「シナリオ2019-フューチャー・サプライズ」という冊子。2007年に、各界の専門家500人が2019年の未来予測をしたというアンケート結果。 取り上げられている分野は、人口問題・食料問題から、社会保障・…

川崎の連続殺傷事件はどうしたら本当に防げるのか?

28日に川崎市で起きた連続殺傷事件で犠牲になられた皆様とご遺族の皆様に、心より哀悼の意を表します。また、怪我をされた皆様の一日も早いご回復をお祈り致します。多数の学校を有する教育委員会の責任者として、今回の事件は本当にショックであり、悲しさ…

渡辺靖著『リバタリアニズム』を読みました。

平成最後の読書はこちら。渡辺靖著『リバタリアニズム』。 自由市場・最小国家・社会的寛容を重んじるリバタリアン。政府の介入は最小限に、他人の自由への干渉も最小限に、というのが基本的スタンスです。 著者は日本には「存在しないに等しい」と書いてい…

水害へのお見舞い

今回の豪雨は平成最大の水害となってしまいました。心よりお見舞いを申し上げます。 熊本市も既に応援を派遣していますが、幹部職員はその状況をLINEを使ってリアルタイムで共有しています。これはとても便利ですね。これも震災の教訓です。 ちなみに、熊本…

選挙公報の1面に載ると本当に当選確率が高いのか(検証)

選挙の時に発行される「選挙公報」。この掲載順は抽選で決まるため、候補者ならば、できるだけ最初のページに載りたいと思うはず。では、本当に1面に載ると当選しやすいのだろうか。それとも、実は載る場所と当選率は関係ないのか。今回の統一地方選挙の結…

知事の6割が官僚出身

久しぶりにブログを書いてみる。というか本当に久しぶりですみません(^^;) 4月12日は統一地方選前半の投票日だった。10道県の知事選挙があり、現職が10人全員当選という結果になった。うち9人は中央省庁出身、いわゆる元官僚だ。 そんなに官僚出身の知事って…

ヤジの話で思ったこと(政策立案者と政策対象者の関係)

都議会のヤジの話についてはもう言い尽くされた感もあるけれど、一応思ったことを書いておきたい。僕が考えたのは、今回のヤジを、セクハラかもしれないが「正論」だ、と思った人が一定数いたのはなぜかということだ。 今回のヤジを正当化する理屈があるとす…

「ググれば1分でわかる」わけない。

あるサイトで、質問に対するコメントとして「そんなのググれば1分でわかる」と書いてあったので、ちょっと気になった。確かに、ネットで調べれば答えが出てくる質問に、「ググれば1分でわかる」と言いたい気持ちはわかる。ただ、ググって1分でわかったこ…

県より県庁所在地の方が有名な県はいくつ?

前回使ったgoogleの検索数を調べるツールが意外と面白かったので、何かあると色々いじってしまう。そこでふと、県より県庁所在地の方が有名な県はいくつあるのだろうか、というのが気になった。 異論を承知で言うけれど、愛知より名古屋の方が有名で、神奈川…

誰が地方分権を殺したのか。

そういえば最近、「地方分権」という言葉をあまり聞かない。 気のせいかなと思って、googleの検索数を調べてみたら、やはり最近はかなり減っている。2004年以降で「地方分権」という言葉の検索数の推移をみると、こんな感じだ。 2009年までは、波があっても…

都知事選の投票率をみて思うこと(投票率を上げるには)

東京都知事選、投票率は46.14%だった。極端に低くはないが、決して高くはない。私は、とにかく投票率が高ければいいとは思わない。投票を義務化して、選挙に興味も関心もない人が投票に行っても意味がない。 投票に行くことを強制されないで、なおかつ…

どうしても二大政党制にしたいなら、秘策がある。

最近ある所で政治学を教えていて、その中で選挙制度の話もする。動画講義なので雑談ができないのが残念だが、仮に教室で教えて雑談ができるなら、この話をしたいと思っている。 それは、「二大政党制になりやすい選挙制度は?」という話だ。普通は、小選挙区…

「おつもり」は敬語?

国会や地方議会の質問を作る仕事をしていると、たまに「おつもり」という言葉を聞く。というか、私もたまに原稿で使う。 「おつもり」とは、「つもり」に「お」が付いたもの。「考え」に「お」が付いて「お考え」になるのと同じようなものだ。毎度毎度、「ど…

「乾杯条例」がブーム!?

私は条例案を作る仕事もするのですが、昨年の条例界(?)では、「乾杯条例」を作るのが流行りでした。 「乾杯条例」というのは、その名のとおり、「地元のお酒で乾杯しよう!」という条例です。もちろん、ビールで乾杯しても罰則はありませんし、お酒を飲ま…