教育長ブログ

熊本市教育長(H29.4~) facebookの投稿から主なものを転載しています。 https://www.facebook.com/hiromichi.endo

辻正矩『小さな学校の時代がやってくる』(築地書館)を読みました。

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長野県池田町の竹内延彦教育長からのご紹介で読ませて頂きました。自らオルタナティブスクールを創設・運営されている著者が「小さな学校」を制度化する構想を描いています。小さな学校とは、生徒数200人以下でオルタナティブ教育をする学校を意味します。

前半の理念的な話と、後半の硬派な制度論とのギャップに萌えます。前半は、海外の事例や日本の状況も踏まえて「小さな学校」の良さを説いています。後半は、現行制度の問題点や、短期的な方略(現在の学校教育法の下で可能な方法)、長期的な方略(現在の学校制度とは別の学校体系を作る方法)、の2つを示しています。

フリースクールについて書いた本で、設置基準や審査機関、認可取消まで踏み込んで公的支援の必要性を説くものは珍しいでしょう。もちろん、そのまま現実の制度にするにはハードルもあると感じますが、夢を語るだけではなく、それを現実にする具体的な構想を描いている点で、とても新鮮な本でした。