末冨芳・桜井啓太著『子育て罰』(光文社新書)を読みました。
著者の末冨先生からご恵贈頂きました。本書のいう「子育て罰」は、子育てする人に厳しい社会や制度という意味です。
現在の日本の制度が、特に経済的な面で子育て世帯に非常に厳しいものになっているということが、様々なデータに基づいて論じられています。しかし本書は、こうした状況は変えられるとして、少子化対策の失敗を認めた上で「子育て罰」をなくすよう、政治に対して提言しています。この部分も、単なる理念的な提言ではなく、「子ども基本法」の制定や「こども庁」に対する各政党のスタンスの分析など、非常に具体的です。
私としては、タイトルの「子育て罰」という日本語には違和感があり、その言葉から「子育てする人に罰を与えるような社会」という意味を読み取るのは難しいように思えます。「child penalty」の日本語訳とのことですが、罰という言葉を使うことによって、元々の「子供を持つことによる経済的不利益」というニュアンスが失われてしまっているように感じます。
しかし、逆にこのタイトルが「これだ!」という人もいるようですので、感じ方は人それぞれでしょう。ご興味のある方はぜひご一読頂き、タイトルの是非も含めてお考え頂ければと思います。