教育長ブログ

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苫野一徳著『ほんとうの道徳』を読みました。

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苫野一徳先生から、ご著書『ほんとうの道徳』をご恵贈いただきました。

この本は非常に感想が書きにくい本でした。読んでからも何を書こうか悩み、少し寝かせておきました(笑)。なぜなら、日頃から苫野先生とよくお話をし、ご著書や記事もそれなりに読み、そして本書に私の名前もちょっとだけ登場しているという立場からすると、ごく当たり前のことしか書いていないからです。

当たり前というのは、凡庸だという意味ではなく、本質だという意味です。苫野先生の文章は、本質と少しの挑発からできています。お酒でいえば蒸留酒、熊本名産の本格米焼酎です。少しの挑発は、ラベルにくまモンが付いているようなものです。飲んでみれば、安定の本質の味です。特に本書は、特定の部分が頭に残らないほど、純度の高い味でした。なので感想が書きにくかったのです。

おそらく、苫野先生にとっての執筆とは、徹底的に無駄を削り、本質を絞り出す作業なのでしょう。私のように、今度はカシスにしようか、ライチにしようか、オレンジにしようか、などと策を弄するのとは違って、とても疲弊する作業に違いありません。

つまり、苫野先生が日頃、学校について書いたり話したりされていることが、蒸留されて書いてある本です。そういう意味で、純度の高い本質です。