教育長ブログ

文科省→起業→熊本市教育長

中原淳監修『学校が「とまった」日』を読みました。

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臨時休校中の生活や学びの状況について、高校生や保護者への調査に基づいて分析した本です。

まず驚くのは、調査の時期です。昨年5月、つまり、まだ休校中に調査を行っています。私達も日々、正解がない状況の中で、できることをやろうと奮戦していたわけですが、その同時期に冷静に状況を調査していた専門家がいるというのは、心強い限りです。この調査は東京・神奈川・埼玉・千葉が対象なので、私達は直接には調査を受けていませんが、きっと全国で同じような状況だったはずです。

本書が明らかにしたのは、学校が「とまった」というけれど、完全に止まったのは教育機能ではなく福祉機能だったということです。学習はオンライン、プリント、家庭学習など、他の方法で部分的には可能でも、食事や居場所の提供は物理的に不可能です。

学習に関しては、多くの生徒がそれなりにやっていたし、7割程度の生徒が「休校期間を自分なりに有意義に過ごしている」と答えています(p.49)。結果として、多くの生徒には思ったほど深刻な影響は出なかった一方で、厳しい家庭環境の生徒とそうでない生徒の差が一番心配すべき点だということです。こうした結果は、私達の熊本での実感とも共通しています。

GIGAスクールで一人一台の端末が整備され、これからは学習面で学校が完全に「とまる」ことは避けられます。では、食事や居場所といった福祉面の提供をどうするか。これは教育委員会だけでなく、福祉部門や防災部門なども含めた行政全体で考えていくべき課題だと思います。