教育長ブログ

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新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について

今日の文科省の通知「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」は、ずいぶん思い切ったなという印象です。

日本の教育史に残る通知になるでしょう。緊急事態とはいえ、文科省がここまで正面から「授業しなくてもいい」と認めるとは。

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家庭学習が以下の要件を満たしており、児童生徒の学習状況及び成果を確認した結果、十分な学習内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断したときには、学校の再開後等に、当該内容を再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができること。
<要件>
① 教科等の指導計画に照らして適切に位置付くものであること。
② 教師が当該家庭学習における児童生徒の学習状況及び成果を適切に把握することが可能であること。

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もちろん、そうしなければ、休校が長引く地域は「全員留年する」という結果になりかねないわけで、それを避けるためにはこうするしかないとも言えます。

A県の中3はみんな卒業できるけど、B県の中3はみんな中3をやり直し。高校受験も大学受験も、休校しなかった地域の生徒しか受けられない。となると、その子達の人生に取り返しのつかない影響を与え、日本社会に巨大な分断をもたらします。それを避けるための判断だと思います。

まあ、個人レベルで見れば、今までも、一度も学校に行かない不登校生でも進級・卒業できていたわけなので、さほど変わらないとも考えられます。

しかし、それを文科省が正面から認めたということは、すごいことです。

今後、「あれはあくまでも特別措置です」という説明をどうやっていくのかも含め、影響は大きいでしょう。とんでもなく苦渋の決断だったのだと思います。

https://www.mext.go.jp/content/20200410-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf