教育長ブログ

文科省→起業→熊本市教育長。45歳。悪性リンパ腫サバイバー。

休校と「教育を受ける権利」と「公共の福祉」について

「教育を受ける権利」と「公共の福祉」は、どちらも日本国憲法の中に出てくる言葉です。憲法には、すべての国民は「教育を受ける権利」を持っていること、国民の権利は「公共の福祉」に反しない限り最大限尊重されること、が書いてあります。

学校教育(特に義務教育)は、「教育を受ける権利」を実現する重要な手段ですし、国民の生命・健康を守るというのは「公共の福祉」の最たるものです。

つまり、新型コロナウイルス対策のために学校を休校(臨時休業)にすることは、子供の「教育を受ける権利」を、全国民の利益となる「公共の福祉」のために制約するという意味をもっています。

「教育を受ける権利」も「公共の福祉」も、憲法上の重要な価値ですから、その重大な決定は、パフォーマンスで行うべきものでも、独断で行うべきものでも、また単に「学校に行かせるのが不安だから」という理由だけで行うべきものでもありません。公立学校の場合は、首長と教育委員会がよくよく相談して、慎重に議論して決定すべき問題です。

文科省ガイドラインで、臨時休業について「自治体の首長が地域全体の活動自粛を強化する一環として、学校の設置者に臨時休業を要請する」、「他の社会・経済活動の一律自粛と合わせて行うことにより、その効果が発現されるよう留意する」とされているのは、そのためです。決して、子供だけを犠牲にすることがあってはならない、「公共の福祉」を実現するための、社会全体の努力の一環として行うべきだ、ということです。

 

日本国憲法(抜粋)

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。