教育長ブログ

文科省→起業→熊本市教育長

Withコロナの学校活動へ: 感染対策と子どもの成長 両立させる方策を

日本教育新聞に寄稿した記事を、許可を頂いて転載します。

 学校でのコロナ対策が始まってから2年以上がたった。この間、教職員は日々の感染防止対策に奔走し、子どもたちも、授業、給食、学校行事、部活動など、学校生活の全面でさまざまな制約を課されてきた。

 こうした感染防止対策が学校での感染を減らし、ひいては、感染の影響を受けやすい高齢者をはじめ、社会全体に貢献してきたことは間違いない。しかし、新型コロナウイルスの感染自体は、第6波を過ぎた今でも収束する気配はなく、さらなる拡大も懸念されるなど、先行きは見通せない。

 一方で、コロナ対策が長期化するにつれて、コロナ対策による子どもの成長への影響も懸念されるようになってきた。

 

小・中の男女共に体力低下

 まず、明らかなのは子どもの体力低下である。令和3年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査では、小・中学校の男女共に体力低下が見られた。スポーツ庁は、学校の活動が制限されたことで、体育の授業以外での体力向上の取組が減少したことも体力低下の要因だと分析している。

 

「学校活動の継続を重視すべき」が大勢

 先日、熊本市教育委員会会議で今後のコロナ対策の方向性を議論した際にも、厳しい感染対策より学校活動の継続を重視すべきとの意見が大勢であった。医師である教育委員からは、マスクによって口元や表情が見えないことによる言葉の発達の遅れについての指摘もなされた。

 感染対策の見直しの議論は、学校に限った話ではない。日常生活全般にわたって、コロナ対策と経済社会活動のバランスが問題となっており、諸外国では感染が高水準であるにも関わらず規制を撤廃する事例も出てきている。

 

「予測が困難な時代」の中で

 ただし、コロナ対策の効果や影響については、専門家によっても見解が異なる場合もあり、唯一の正解があるとはいえない状況である。特に、子どもの成長という中長期的な影響は、感染状況や経済状況とは違って、すぐには明確に結果が出ない。私たちは、不確実な状況の中で判断をしなければならない。まさに令和2年度からの学習指導要領が想定している「予測が困難な時代」の真っただ中に置かれているのだ。

 確実に言えることは、これまでの学校の感染対策で、コロナを減らすことはできても、完全になくすことはできなかったということだ。従って、今後ともコロナの存在を前提としつつ、感染対策と子どもの成長を両立できるよう、共存の方策を探っていかなければならない。

 今こそ私達は、ゼロコロナからWithコロナへの転換点に立っているといえる。学校や教育委員会においても、これまでの感染対策を評価し、バランスの取れた見直しを検討する必要があると考える。

日本教育新聞 2022年5月16日付「提言」掲載)