教育長ブログ

文科省→起業→熊本市教育長。44歳。仕事をしながら悪性リンパ腫治療中。

森絵都著『みかづき』を読みました。

塾の話です。学校が圧倒的な存在であり、塾に行くことは後ろめたいとされていた時代から、塾の全盛期、そして現代まで。塾を創業した一家の三世代にわたる波乱の物語です。少しボリュームがありますが、面白くどんどん読めます。

この物語では、文部省は極悪非道な権力者として描かれます。全国一斉学力調査(学テ)の実施、教科書の統制強化、業者テストの廃止、ゆとり教育の導入など、愚策を次々に繰り出して業界を混乱させます。まあ、そう見えたのでしょうね...。

文部省と文部官僚に対する徹底的な嫌悪と反感が、物語を貫く一つの軸となっていますので、一部の文科省関係者は読んでも楽しくないかもしれません(笑)

もう一点。登場する女性は美人ばかりです。女性が登場すると、まず容姿の描写があり、その女性に男が惹かれ、男女の関係になり、それによって物語が大きく展開します。最初から最後まで、そんな場面が何度かあります。

小説ってそんなもんだろう、と言われればそうなのですが、仕事に深く関わる設定での話だからでしょうか。半分仕事モードで読むと、美女でなければ成立しない物語という点に違和感を覚えたのも事実です。

女性はまず容姿。そして男女の関係を軸に物語が進む。そうした物語がいつまで市民権を得られるのだろうか、などと考えてしまいました。我々は大きな文化の転換点にいるのかもしれません。

 

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