教育長ブログ

熊本市教育長(H29.4~) facebookの投稿から主なものを転載しています。 https://www.facebook.com/hiromichi.endo

911から20年

911から20年が経ったのですね。
あの日、ハーバードのケネディスクールで、皆が呆然と立ち尽くしながら大きなスクリーンを見ていました。
画面には、煙を上げるビルと、突入した飛行機の搭乗者名簿が延々と流れています。何百人という名前と年齢が続くその最後は、家族でした。同じ名字の、4歳と2歳。それを見た瞬間、激しい怒りに全身が包まれます。
神の仕業だとしても許せない。そうインタビューに答える女性が脳裏に焼き付いています。高層ビルの窓から飛び降りる人々や煙の中に消えていくタワーは、現実とは思えませんでした。
まだ消息不明の飛行機が十数機。もしかすると、ここにも飛行機が落ちてくるかもしれない、そんな緊張が流れていました。
その時、母と妹がちょうど旅行でニューヨークにいました。ワールドトレードセンターはすごいから絶対行った方がいいよ、そう勧めた直後でした。あの中にいるのかもしれない。そう思いながら、連絡が取れないまま3日が経ちました。ようやく連絡が取れた時には、普通にホテルにいると聞いて拍子抜けしました。地下鉄が止まっていて移動ができなかったと。
その直後に訪問した学校で、ある生徒がこう言いました。「オサマ・ビン・ラディンの話を聞きたい」と。アメリカ中が敵意を剥き出しにする中、「彼が何を考えているのか知りたい」そして「僕が好きな本を勧めたい」と言ったのです。戦争に向かう同調圧力の中でこう言えるとは。個人としての強さに心を打たれました。本物の勇気というのはこういうものかと思ったのを、昨日のことのように思い出します。