教育長ブログ

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学校や教育委員会の閉鎖性を打破するには?

先日、ある教育関係のシンポジウムに行ってきた。

 

パネリストは、アフラック最高顧問の大竹さん(教育再生実行会議メンバー)、文科省初等中等教育局長の前川さん、NPO法人Teach for Japan代表理事の松田君という顔触れ。議論の中心は、教員の質向上、教員組織の閉鎖性をどう打破するか、といった話だった。

 

パネリストはそれぞれ個性的で、大竹さんの大上段の正論、前川さんのユルいぶっちゃけトーク、松田君の真面目な現場論は、それぞれ面白かった。特に前川さんは、某県の教員のうち同一大学(県内の国立教員養成大学)の出身者が過半数を占めている、といった問題点の指摘をしていた。教員や教育委員会職員の多くが同じ大学の先輩後輩であれば、不祥事を内々に処理しようという閉鎖的な体質になることも容易に想像できる。

 

ただ、問題提起はあったものの、では、それをどう打破するか、という点の議論があまりなかったのが残念だった。司会の早川さん(NHK解説主幹)が、「では、どうするのか?」という質問をしたものの、あまり明確な答えは出てこなかった。

 

教員の同質性が問題であるならば、同一大学の出身者の比率を下げる、県外出身者の比率を上げる、民間企業経験者の比率を上げる、あるいは、Teach for Japanのような外部教員をどんどん入れるなど、教員の多様性を増やす具体策の議論があってもよかった。

 

大学では、自校出身者、いわゆる純粋培養の教員の比率を下げることを、国の政策として行っている。小中学校の教員でも同じではないか。文科省が、教員の多様化に取り組む教育委員会をモデル的に指定して、財政面でもサポートするといったような政策も可能なはずだ。

 

一部の教育委員会では、県内出身の教員比率を増やすよう、大学と協定を結ぶ動きもある。最近も、S県教育委員会とS大学の提携の話が報道されていた。S県の教員採用はS大学出身者が4割であるが、それをさらに増やすようにS大学からの推薦枠を作るという。意味不明だ。あるべき方向性と全く逆行している。

 

学校や教育委員会の閉鎖性を打破するためには、教員構成の多様化が有効な方法ではないか。